日のドラポー・ブラン紙の一枚であって、その記事は本書の第二部第二編第一章で読者が見たとおり、マドレーヌ氏とジャン・ヴァルジャンとが同一人である事を証明するものだった。もう一枚は、一八三二年六月十五日の機関紙であって、ジャヴェルの自殺を証明し、なおジャヴェルが自ら警視総監に語った口頭の報告が添えてあった。その報告によれば、ジャヴェルはシャンヴルリー街の防寨《ぼうさい》で捕虜になったが、ひとりの暴徒がピストルをもって彼を手中のものにしながら、彼の頭を射|貫《ぬ》かないで空に向けて発射し、その寛大なはからいのために一命を助かったというのだった。
マリユスは読んだ。その中には明らかな事実があり、確かな日付けがあり、疑うべからざる証拠があった。その二枚の新聞紙は、テナルディエが自説を支持するためにことさら印刷さしたものではなかった。機関紙に掲げられた記事は、警視庁から公《おおやけ》に発表したものだった。マリユスも疑う余地を見いださなかった。銀行の出納係が伝えた話はまちがっていて、彼自身も誤解をしていたのだった。ジャン・ヴァルジャンはにわかに偉大なものとなって、雲の中から現われてきた。マリユスは
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