傍点]という二度の返事、相手に二の句をつがせないような簡明さ、それらは男の内心を多少|激昂《げっこう》さした。彼は憤激した目つきをちらとマリユスに投げつけた。そのまなざしはすぐに隠れて、一瞬の間にすぎなかったが、一度見たら忘れられないようなものだった。マリユスはそれを見のがさなかった。ある種の炎はある種の魂からしか発しない。思想の風窓である眸《ひとみ》は、そのために焼かれてしまう。眼鏡《めがね》もそれを隠すことはできない。地獄にガラスをかぶせたようなものである。
 男はほほえみながら言った。
「私は何も男爵閣下のお言葉に逆らうつもりではございません。がとにかく、私がよく秘密を握っているということは認めていただきたいのでございます。これからお知らせ申し上げますことは、ただ私ひとりしか承知していないことであります。それは男爵夫人閣下の財産に関することでございます。非常な秘密でありまして、金に代えたいつもりでいます。でまず最初閣下にお買い上げを願いたいのです。お安くいたしましょう。二万フランに。」
「その秘密というのも、他の秘密と同様に私は知っています。」とマリユスは言った。
 男はその価を
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