ばい》の衣裳方だった。その小屋は詐偽窃盗の出入りする楽屋だった。ぼろをまとってるひとりの悪漢が衣服室にやってき、三十スー出し、その日演じようとする役目に従って適当な服装を選み、そして再び階段をおりてゆく時には、まったく相当な人間に変わっていた。翌日になると、その衣服は正直に返却された。盗賊らをすっかり信用してる取り替え人は、決して品物を盗まれることがなかった。ただその衣服には一つ不便な点があった。すなわち「うまく合わない」ということだった。着る人の身体に合わして作られたものでなかったから、甲の者には小さすぎ、乙の者には大きすぎるという具合に、だれにもきっちり合わなかった。普通の者より小さいか大きいかが常である悪者らは、取り替え人の衣服にははなはだ具合が悪かった。またあまりふとっていてもあまりやせていてもいけなかった。取り替え人は普通の人間をしか頭に入れていなかった。ふとってもいずやせてもいず、背が高くも低くもない、始めてぶっつかった奴の身体に合わして、標準をきめていた。そのために着換えをすることが困難な場合もしばしば起こって、顧客らはできるだけの手段を尽してその困難を切りぬけようとして
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