思えた。そして長くジャン・ヴァルジャンをながめた後、彼が最後に取った態度は顔をそむけることだった。退け[#「退け」に傍点]([#ここから割り注]訳者注 サタンよ退け[#ここで割り注終わり])であった。
あえて実際のところを言うならば、マリユスはジャン・ヴァルジャンにいろいろ尋ねて、ついにジャン・ヴァルジャンをして「あなたは私にすべてを打ち明けてくれと言われる[#「あなたは私にすべてを打ち明けてくれと言われる」に傍点]」と言わしめた程であったが、それでも重要な二、三の疑問は避けたのだった。それらの疑問が頭に浮かばないではなかったが、彼はそれを尋ねることを恐れた。すなわち、ジョンドレットの陋屋《ろうおく》のこと、防寨《ぼうさい》のこと、ジャヴェルのこと。それらの疑問からはいかなる事実が現われてくるか見当がつかなかった。ジャン・ヴァルジャンは自白を躊躇《ちゅうちょ》するような男とは思われなかった。そしてマリユスは、強《し》いて彼の口を開かせた後、また中途で、彼の口をつぐませたくなるかも知れなかった。ある非常な疑念の場合において、一つの問いを発した後、その答えが恐ろしくなって耳をふさごうとす
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