であるだろう。二十世紀にはもはや、古い歴史に見えるようなものは一つもないだろう。征服、侵略、簒奪《さんだつ》、武力による各国民の競争、諸国王の結婚結合よりくる文化の障害、世襲的暴政を続ける王子の出生、会議による民衆の分割、王朝の崩壊による国家の分裂、二頭の暗黒なる山羊《やぎ》のごとく無限の橋上において額をつき合わする二つの宗教の争い、それらももはや今日のように恐るるに及ばないだろう。飢饉《ききん》、不正利得、困窮から来る売淫《ばいいん》、罷工から来る悲惨、絞首台、剣、戦争、および事変の森林中におけるあらゆる臨時の追剥《おいはぎ》、それらももはや恐るるに及ばないだろう、否もはや事変すらもないとさえ言い得るだろう。人は幸福になるだろう。地球がおのれの法則を守るごとく、人類はおのれの大法を守り、調和は人の魂と天の星との間に立てられるだろう。惑星が光体の周囲を回るごとく、人の魂は真理の周囲を回るだろう。諸君、われわれがいる現在の時代は、僕が諸君に語っているこの時代は、陰惨なる時代である。しかしそれは未来を購《あがな》うべき恐ろしい代金である。革命は一つの税金である。ああかくて人類は、解放され高
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