天使の家庭ができたこと、家中喜びに満ちてること、万事よくいってること、それを私は見て、自分で言いました、汝は入るべからずと、実際私は、嘘《うそ》をつくこともでき、あなた方皆を欺くこともでき、フォーシュルヴァン氏となってることもできました。そして彼女のためである間は嘘もつきました。しかし今は私のためである以上、嘘をついてはいけないのです。なるほど私がただ黙ってさえおれば、今のまま続いていったでしょう。あなたは、だれに強《し》いられて自白するのかと私にお尋ねなさる。それは下らないものです。私の良心です。けれども、黙っているのもまたたやすいことでした。私は一晩中、黙っていようといろいろ考えてみました。あなたは私にすべてを打ち明けてくれと言われる。実際私があなたに申したことは普通のことではないので、あなたがそう言われるのも無理はありません。ところで私は一晩中、いろいろ理屈を並べてみ、至当な理由を並べてみて、できるだけの努力はしました。しかしどうしても私の力に及ばないことが二つあったのです。私の心をここにつなぎとめ釘《くぎ》付けにしこびりつかせてる綱を断ち切ることと、ひとりでいる時私に低く話しか
前へ 次へ
全618ページ中471ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング