よくきて下さいました、お父さん。お手はいかがです。よろしい方で、そうではありませんか。」
そして、自らいいと答えたのに満足しながら、彼はなお言い続けた。
「私どもはふたりでよくあなたの噂《うわさ》ばかりしています。コゼットはどんなにかあなたを慕っています。この家にあなたのお室《へや》があることもお忘れではありませんでしょうね。私どもはもうオンム・アルメ街をあまり好みません。実際もう好ましくありません。どうしてあなたはあんな街路にお移りなすったのです。あすこは、不健康で、うるさくて、きたなくて、一方の端には柵《さく》があり、寒くて、とても行けやしません。ここにお住みになったがよろしいです。今日からそうなすって下さい。そうでないとコゼットが承知しませんよ。まったくコゼットは私どもを自分の好きなとおりにするつもりでいます。あなたはあの室《へや》をごらんなすったでしょう。私どもの室のすぐわきで、庭に向いています。錠前も直してあれば、寝台も整っていて、すっかり用意ができています。ただおいでになりさえすればよろしいんです。コゼットはあなたの寝台のそばに、ユトレヒト製ビロードの大きな安楽椅子を据え
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