ンに対してやさしかった。また彼女はジルノルマン老人としっくり調子が合っていた。老人が盛んに警句や格言を使って喜びを述べ立ててる間、彼女は愛と善良さとをかおりのように発散さしていた。幸福はすべての者が楽しからんことを欲するものである。
彼女はジャン・ヴァルジャンに話しかける時は、少女時代の声の調子に戻っていた。また、ほほえみを送って彼に甘えていた。
饗応《きょうおう》の宴は食堂に設けられていた。
昼間のように明るい灯火は、大なる喜びの席にはなくてならないものである。靄《もや》と暗さとは決して幸福な人々の好むものではない。彼らは黒い姿となるのを喜ばない。夜はよいが、暗闇《くらやみ》はいけない。もし太陽が出ていなければ、それを別に一つこしらえなければならない。
食堂は楽しい器具の巣であった。中央には、まっ白に光ってる食卓の上に、平たい延べ金の下飾りがついてるヴェニス製の大燭台《だいしょくだい》が一つあって、その四方の枝の蝋燭《ろうそく》に囲まれたまんなかには、青や紫や赤や緑などに塗った各種の鳥がとまっていた。大燭台《おおしょくだい》のまわりには多くの飾り燭台があり、壁には三枝もしくは
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