の面倒をきたすものである。そして二月十六日まででなければすっかり準備ができ上がらなかった。
しかるに、われわれはただ正確を期するためにこの一事を言うのであるが、十六日はちょうど謝肉祭末日の火曜日だった。それで人々はいろいろ躊躇《ちゅうちょ》したり気にかけたりし、ことにジルノルマン伯母《おば》はひどく心配した。
「謝肉祭末日なら結構だ。」と祖父は叫んだ。「こういう諺《ことわざ》がある。
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謝肉祭末日の結婚ならば
謝恩を知らぬ子供はできない。
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是非ともやろう。十六日にきめよう。マリユス、お前は延ばしたいか。」
「いいえ、ちっとも。」と恋人は答えた。
「ではその日が結婚だ。」と祖父は言った。
それで、世間のにぎわいをよそにして、十六日に結婚式があげられた。その日は雨が降った。けれども、たとい他の者は皆|雨傘《あまがさ》の下にいようとも、恋人らがながめる幸福の蒼天《そうてん》は、常に空の片すみに残ってるものである。
その前日、ジャン・ヴァルジャンはジルノルマン氏の面前で、五十八万四千フランをマリユスに渡した。
結婚は夫婦財産共有法によって
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