のこぎり》形をし、入り組み、広い裂け目を銃眼とし、それぞれ稜角堡《りょうかくほう》をなす多くの築堤でささえられ、そこここに突起を出し、背後には人家の大きな二つの突出部が控えていて、既に七月十四日([#ここから割り注]一七八九年[#ここで割り注終わり])を経てきたその恐るべき場所の奥に、巨大なる堤防のようにそびえていた。そしてこの大親たる防寨の後ろには、各街路の奥に十九の小防寨が重なっていた。その郭外のうちにある広大なる半死の苦しみは、困窮が最後の覆滅を望むような危急な瞬間に達していることが、防寨を一目見ただけで感ぜられた。しかも防寨は何でできていたか。ある者の言によれば、七階建ての人家を三つことさらに破壊して作ったものだといい、ある者の言によれば、あらゆる憤怒の念が奇蹟的に作り上げたものだという。そして憎悪《ぞうお》のあらゆる手段をもって築かれた痛むべき光景、倒壊の趣を持っていた。だれがそれを建設したか、とも言い得らるれば、だれがそれを破壊したか、とも言い得られた。沸騰せる熱情が即座に作ったものであった。扉《とびら》、鉄門、庇《ひさし》、框《かまち》、こわれた火鉢《ひばち》、亀裂《きれ
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