思ってるもので、毛莨色《きんぽうげいろ》の繻子《しゅす》のような地質に蓮馨花色《さくらそういろ》のビロードのような花がついていた。彼は言った。「ローシュ・ギヨンでアンヴィル公爵夫人の寝台の帷《とばり》となっていたのも、これと同じ織物だ。」また彼は暖炉棚《だんろだな》の上に、裸の腹にマッフをかかえてるサクソニー製の人形を一つ据えた。
ジルノルマン氏の図書室は弁護士事務室となった。読者の記憶するとおり、弁護士たる者は組合評議員会の要求によって事務室を一つ持っていなければならなかったので、マリユスにもその必要があったのである。
七 幸福のさなかに浮かびくる幻
ふたりの恋人は毎日顔を合わしていた。コゼットはいつもフォーシュルヴァン氏と共にやってきた。ジルノルマン嬢は言った。「こんなふうに嫁さんの方からきげんを取られに男の家へやって来るのは、まるでさかさまだ。」けれどもマリユスはまだ回復期にあったし、フィーユ・デュ・カルヴェール街の肱掛《ひじか》け椅子《いす》はオンム・アルメ街の藁椅子《わらいす》よりもふたりの差し向かいに好都合だったので、自然とコゼットの方からやって来る習慣に
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