、侯爵は宝石のようだった。脚絆留《きゃはんど》めをつけたり長靴《ながぐつ》をつけたりはしなかった。はなやかで、艶々《つやつや》しく、観世模様をつけ、蝦茶色《えびちゃいろ》ずくめで、軽快で、華奢《きゃしゃ》で、人の気をそらさないが、それでもなお腰には剣を下げていた。蜂雀も嘴《くちばし》と爪《つめ》とを持ってるものだ。優美なる藍色服の人々[#「優美なる藍色服の人々」に傍点]の時代だった。その時代の一面は繊麗であり、一面は壮麗だった。そして人々は遊び戯れていたものだ。ところが今日ではだれも皆まじめくさってる。市民はけちで貞節ぶってる。お前たちの世紀は不幸なものだ。あまり首筋を出しすぎてると言っては優美の女神を追いやっている。あわれにも、美しさをも醜さと同じように包み隠してる。革命から後は、だれでもズボンをはくようになった、踊り娘《こ》までそうだ。道化女もまじめくさり、リゴドン踊りも理屈っぽくなってる。威儀を正してなけりゃいけない。襟飾《えりかざ》りの中に頤《あご》を埋めていなけりゃ気を悪くされる。結婚しようとする二十歳の小僧の理想は、ロアイエ・コラール氏([#ここから割り注]訳者注 立憲王党
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