ローマおよびアテネの大人物[#ここで割り注終わり])のように数世紀にわたる魅力を持っていて、各人がそれぞれ古代の記念のようです。」
「古代の絹!」と老人は叫んだ。「ありがとう、マリユス。ちょうどわしもそういう考えをさがしてるところだった。」
そして翌日、茶色の観世模様古代絹のみごとな長衣がコゼットの結婚贈り物に加えられた。
祖父はそれらの衣裳から一つの哲理を引き出した。
「恋愛は結構だ。だが添え物がなくてはいかん。幸福のうちにも無用なものがなくてはいかん。幸福そのものは必要品にすぎない。だから大いにむだなもので味をつけるんだ。宮殿と心だ。心とルーヴル美術館だ。心とヴェルサイユの大噴水だ。羊飼い女にも公爵夫人のような様子をさせることだ。矢車草を頭にいただいてるフィリスにも十万フランの年金をつけることだ。大理石の柱廊の下に目の届く限り田舎景色《いなかげしき》をひろげることだ。田舎景色もいいし、また大理石と黄金との美観もいい。幸福だけの幸福はパンばかりのようなものだ。食えはするがごちそうにはならない。むだなもの、無用なもの、よけいなもの、多すぎるもの、何の役にも立たないもの、それがわし
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