くにたえる金縁の印度ハンカチ、織り上げたばかりで鋏《はさみ》のはいっていない裏表なしの花模様絹、ゼノアやアランソン製の刺繍《ししゅう》、古い金銀細工の装飾品、微細な戦争模様のついてる象牙の菓子箱、装飾布、リボン、それらをすべて彼はコゼットに与えた。コゼットはマリユスに対する愛に酔いジルノルマン氏に対する感謝の念にいっぱいになって、心の置き所も知らず、繻子とビロードとをまとった限りない幸福を夢みていた。結婚の贈物が天使からささげられてるような気がした。彼女の魂はマリーヌのレースの翼をつけて蒼空《そうくう》のうちに舞い上がっていた。
 ふたりの恋人の恍惚《こうこつ》の情におよぶものは、前に言ったとおり、ただ祖父の歓喜あるのみだった。かくてフィーユ・デュ・カルヴェール街には楽隊の響きが起こったかのようだった。
 祖父は毎朝コゼットへ何かの古物《こぶつ》を必ず贈った。あらゆる衣裳が彼女のまわりに燦爛《さんらん》と花を開いた。
 マリユスは幸福のうちにも好んでまじめな話をしていたが、ある日、何かのことについてこう言った。
「革命の人々は実に偉大です。カトーやフォキオン([#ここから割り注]訳者注
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