ヌ氏の名前で儲《もう》けていた金額を、ちょうどよくラフィット銀行から引き出すことができた。そして再び捕えられることを気使って――果たして間もなく捕えられたが――モンフェルメイュの森の中のブラリュの地所と言われてる所に、その金を埋めて隠しておいた。金額は六十三万フランで、全部銀行紙幣だったので、わずかな嵩《かさ》で一つの小箱に納めることができた。ただその小箱に湿気を防ぐため、更に栗の木屑《きくず》をいっぱいつめた樫《かし》の箱に入れておいた。同じ箱の中に彼は、も一つの宝である司教の燭台《しょくだい》をもしまった。モントルイュ・スュール・メールから逃走する時彼がその二つの燭台を持っていったことを、読者は記憶しているだろう。ある夕方ブーラトリュエルが最初に見つけた男は、ジャン・ヴァルジャンにほかならなかった。その後ジャン・ヴァルジャンは、金がいるたびごとにそれを取りにブラリュの空地にやってきた。前に言ったとおり彼が時々家をあけたのは、そのためだった。彼は人の気づかない茂みの中に一本の鶴嘴《つるはし》を隠しておいた。それから彼は、マリユスが回復期にはいったのを見た時、その金の役立つ時機が近づい
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