しめ、まっかになり、喉《のど》をつまらし、口に泡《あわ》を立て、目をむき出して、ちょうど次の室《へや》で靴《くつ》をみがいていた正直なバスクとばったり顔を合わした。彼はバスクの襟《えり》をとらえ、まっ正面から勢い込めてどなりつけた。「畜生、その悪漢どもが殺害したんだ!」
「だれをでございますか。」
「アンドレ・シェニエをだ!」
「さようでございます。」とバスクは驚き恐れて言った。

     四 フォーシュルヴァン氏の小わきの包み

 コゼットとマリユスとは再び会った。
 その面会はどんなものであったか、それを語るのをわれわれはやめよう。世には描写すべからざるものがある。たとえば太陽もその一つである。
 コゼットがはいってきた時には、バスクやニコレットをも加えて一家の者が皆マリユスの室《へや》に集まっていた。
 彼女は閾《しきい》の上に現われた。その姿はあたかも円光に包まれてるかと思われた。
 ちょうどその時祖父は鼻をかもうとしていた。彼はそれを急にやめ、ハンカチで鼻を押さえたまま、その上からコゼットをながめた。
「みごとな娘だ!」と彼は叫んだ。
 それから彼は大きな音を立てて鼻をかん
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