三 マリユス攻勢を取る
ある日ジルノルマン氏は、戸棚の大理石板の上に壜《びん》やコップを娘が片づけてる時、マリユスの上に身をかがめて、最もやさしい調子で彼に言った。
「ねえマリユス、わしがもしお前だったら、もう魚《さかな》より肉の方を食べるがね。比目魚《ひらめ》のフライも回復期のはじめには結構だが、病人が立って歩けるようになるには、上等の脇肉《わきにく》を食べるに限るよ。」
マリユスはもうほとんど体力をすべて回復していたが、更にその力を集中して、そこに半身を起こし、握りしめた両の拳《こぶし》を敷き布の上につき、祖父の顔をまともにじっとながめ、恐ろしい様子をして言った。
「そうおっしゃれば一つ申したいことがあります。」
「何かね?」
「私は結婚したいのです。」
「そんなことなら前からわかっている。」と祖父は言った。そして笑い出した。
「何ですって、わかっていますって?」
「うむ、わかっているよ。あの娘をもらうがいい。」
マリユスはその一言に惘然《ぼうぜん》として眩惑《げんわく》し、手足を震わした。
ジルノルマン氏は続けて言った。
「そうだ、あのきれいなかわいい娘をも
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