カ月余りも長椅子《ながいす》の上に身を横たえていなければならなかった。いつまでも口のふさがらない傷が残って、手当てを長引かし、病人をひどく退屈がらせることがよくある。
 しかし、その長い病と長い回復期とのために、彼は官憲の追求を免れた。フランスにおいてはいかなる激怒も、公《おおやけ》の激怒でさえ、六カ月もたてば消えてしまう。それに当時の社会状態にあっては、暴動はだれでもしやすい過失であって、それに対してはある程度まで目を閉じてやらなければならなかった。
 なおその上、ジスケの無茶な命令は、負傷者を申し出るように医者に強《し》いて、輿論《よろん》を激昂《げっこう》さし、また輿論のみでなく第一に国王をも激昂さしたので、負傷者らはその激昂のために隠匿され保護された。そして軍法会議では、戦争中に捕虜となった者のほかは、いっさい不問に付することに決した。それでマリユスは無事のままでいることができた。
 ジルノルマン氏は最初あらゆる心痛を経て、次にあらゆる狂喜を感じた。毎晩負傷者の傍《そば》で夜を明かすのをやめさすのは、非常な骨折りだった。彼はマリユスの寝台のそばに自分の大きな肱掛《ひじか》け椅子
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