とりであった。それはまさしく現実であった。現実がかかる異様な姿になり得るとは、実に呪《のろ》うべきことだった。
もし事実がその本分を守るならば、必ずや事実は法を証明することをしかしないであろう。なぜならば、事実を世に送るものは神であるから。しかるに今や、無政府主義までが天からおりてこようとするのか。
かくて、ますます加わってくる煩悶《はんもん》のうちに、茫然《ぼうぜん》自失した幻覚のうちに、ジャヴェルの感銘を押さえ止め訂正するすべてのものは消えうせ、社会も人類も宇宙も皆、彼の目には爾来《じらい》ただ単に忌まわしいだけの姿となって映じた。そして、刑法、判決、至当なる立法の力、終審裁判所の決定、司法官職、政府、嫌疑と抑圧、官省の知恵、法律の無謬《むびゅう》、官憲の原則、政治的および個人的安寧が立脚するあらゆる信条、国王の大権、正義、法典から発する理論、社会の絶対権、公の真理、すべてそれらのものは、破片となり塵芥《じんかい》となり渾沌《こんとん》たるものとなってしまった。秩序の監視人であり、警察の厳正な僕《しもべ》であり、社会を保護する番犬である、彼ジャヴェル自身も、打ち負かされてしまっ
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