で全部鋳上げられた懲戒の像であって、しかもその青銅の胸の中に、ほとんど心臓にも似たる不条理不従順なるある物を突然に認める。その日まで悪だと思っていたものが善となり、その善に対して善を報いなければならなくなる。番犬であって、しかも敵の手を舐《なめ》る。氷であって、しかも溶解する。釘抜《くぎぬ》きであって、しかも普通の手となる。突然に指が開くのを感ずる。つかんだ獲物を放つ。それは実に恐怖すべきことである。
もはや進むべき道を知らずして後退する一個の人間の鉄砲弾であった。
自ら次のことを認めざるを得ないとは何たることであろう! すなわち、無謬《むびゅう》なるもの必ずしも無謬ではない。信条のうちにも誤謬があり得る。法典はすべてを説きつくすものではない。社会は完全ではない。官憲も動揺することがある。動かすべからざるもののうちに割れ目のできることがある。裁判官も人間である。法律も誤ることがある。法廷も誤認することがある。大空の広大なる青ガラスにも亀裂が見らるるのか?
ジャヴェルのうちに起こったことは、直線的な心の撓曲《とうきょく》であり、魂の脱線であり、不可抗の力をもってまっすぐに突進し神に
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