感じたとおり、果たして何者かがうしろにいた。
 背の高いひとりの男が、フロック形の長い上衣を着、両腕を組み、しかも右手には鉛の頭が見える棍棒《こんぼう》を持って、マリユスの上にかがんでるジャン・ヴァルジャンの数歩うしろの所に、じっと立っていた。
 それは影に包まれていて幽霊のように見えた。単純な者であったら、薄暗がりのために恐怖を感じたろう。思慮ある者であったら、棍棒のために恐怖を感じたろう。
 ジャン・ヴァルジャンはその男がジャヴェルであることを見て取った。
 テナルディエを追跡したのはジャヴェルにほかならなかったことを、読者は既に察したであろう。ジャヴェルは望外にも防寨《ぼうさい》から出た後、警視庁へ行き、わずかの間親しく総監に面接して口頭の報告をし、それからまた直ちに自分の任務についた。読者は彼のポケットに見いだされた書き付けのことを記憶しているだろう。それによると彼の任務には、しばらく前から警察の注意をひいていたセーヌ右岸のシャン・ゼリゼー付近を少し監視することも含まっていた。彼はそこでテナルディエを見つけ、その跡をつけたのだった。その後のことは読者の知るとおりである。
 ジャ
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