ィーユ・デュ・カルヴェール街六番地、ジルノルマン氏。」それから彼は紙挾《かみばさ》みをまたマリユスのポケットにしまった。彼は食を得たので力を回復した。それでマリユスを再び背に負い、その頭を注意して自分の右肩にもたせ、また下水道を下り始めた。
メニルモンタンの谷に沿って曲がりながら続いてる大溝渠は、およそ二里ほどの長さだった。その間おもな部分には皆石が鋪《し》いてあった。
ジャン・ヴァルジャンの地下の道筋を読者によくわからせるために、われわれは一々パリーの街路の名前をあげているが、彼自身はもとより炬火《たいまつ》のようなそういう知識を持たなかった。パリーのいかなる地帯を横ぎってるのか、またいかなる道筋をたどってるのか、それを彼に示してくれるものは何もなかった。ただ、時々出会う光の隈《くま》がますます薄くなってゆくので、日光はもう往来にささず日暮れに間もないことが、わかるばかりだった。そして頭の上の馬車のとどろきは、連続してたのが間歇的《かんけつてき》になり、後にはほとんど聞こえなくなってしまったので、もうパリーの中央の地下にいるのではなく、外郭の大通りか出外れの川岸通りかに近いある寂
前へ
次へ
全618ページ中252ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング