わってみた。その口が今いる隧道《すいどう》よりも狭い時には、そちらに曲がり込まないでまっすぐに進んでいった。狭い道はすべて行き止まりになってるはずで、目的すなわち出口から遠ざかるだけであると、至当な考えをしたからである。かくして彼は、上にあげておいた四つの迷路によって暗黒のうちに張られてる四つの罠《わな》を、免れることができた。
時には、防寨《ぼうさい》のため交通が途絶され暴動のため石のように黙々としてるパリーの下から出て、いきいきたる平常のパリーの下にはいったのを、彼は感ずることができた。ふいに頭の上で、雷のような遠い連続した音が聞こえた。それは馬車の響きであった。
彼は約三十分ばかり、少なくとも自ら推測したところによると約三十分ばかり、歩き続けていたが、なお休息しようとも思わなかった。ただマリユスをささえてる手を代えたのみだった。暗さはいよいよ深くなっていたが、その深みがかえって彼を安心さした。
突然彼は前方に自分の影を認めた。影は足下の底部と頭上の丸天井とをぼんやり染めてるほのかな弱い赤みの上に浮き出していて、隧道のじめじめした両側の壁の上に、右へ左へとすべり動いた。彼は惘
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