かった。街路や四つ辻《つじ》の勾配《こうばい》が終わってる低部には、大きな四角の鉄格子《てつごうし》が方々に見えていた。格子の太い鉄棒は、群集の足に磨《みが》かれて光っており、馬車にはすべりやすくて危険であり、馬もよくころぶほどだった。橋梁《きょうりょう》や道路に関する公用語では、それらの低部や鉄格子に Cassis([#ここから割り注]訳者注 ラテン語にてはくもの巣という意味になる[#ここで割り注終わり])という意味深い名前を与えていた。この一八三二年には、エトアール街、サン・ルイ街、タンプル街、ヴィエイユ・デュ・タンプル街、ノートル・ダーム・ド・ナザレ街、フォリー・メリクール街、フルール河岸、プティー・ムュスク街、ノルマンディー街、ポン・トー・ビーシュ街、マレー街、サン・マルタン郭外、ノートル・ダーム・デ・ヴィクトアール街、モンマルトル郭外、グランジュ・バトリエール街、シャン・ゼリゼー、ジャコブ街、トールノン街、などの多数の街路には、昔のゴチック式の汚水溝渠《おすいこうきょ》がまだその口を皮肉らしく開いていた。時代のついた厚顔さをそなえ、時には標石でめぐらされた、のろまな巨大な石の
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