す。」「何を?」「パリーの下水道にはいってみようと申します。」
その男は実在の人物で、ブリュヌゾーと言う名前であった。
四 世に知られざる事がら
その探険はやがて行なわれた。恐るべき戦陣だった、疫病と毒ガスとに対する暗黒中の戦いだった、同時にまた発見の航海だった。その探険隊のうちでまだ生き残ってるひとり、当時ごく若い怜悧《れいり》な労働者だったひとりが、公文書の文体に適せぬので警視総監への報告中にブリュヌゾーが省略しなければならなかった不思議な事実を、今から数年前まで人に語ってきかしていた。当時の消毒方法はきわめて初歩の程度だった。ブリュヌゾーが地下の網目の最初の支脈を越すか越さないうちに、二十人の一隊のうち八人の者はもう先へ進むことを拒んだ。仕事は複雑で、探険とともに浚渫《しゅんせつ》の役をも兼ねていた。潔《きよ》めながらまた同時に種々の測量をしなければならなかった。すなわち、水の入り口を調べ、鉄格子《てつごうし》および穴を数え、支脈をきわめ、分岐点の水流を見、種々のたまりに関する区画を見て取り、主要水路に続いてる小水路を探り、各|隧道《すいどう》の要石《かなめいし
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