歩前の所で、ようやく止まった。十七世紀に対しては国王([#ここから割り注]ルイ十四世[#ここで割り注終わり])よりも詩人([#ここから割り注]ラシーヌ[#ここで割り注終わり])の方を尊敬したわけである。その深さはサン・ピエール街が最高で、水口の舗石《しきいし》の上三尺に達し、その広さはサン・サバン街が最高で、二百三十八メートルの距離にひろがった。
十九世紀の初めにおいても、パリーの下水道はなお神秘な場所であった。およそ泥土《でいど》は決して令名を得るものではないけれども、当時はその悪名が恐怖を起こさせるほどに高かった。パリーは漠然《ばくぜん》と、自分の下に恐ろしい洞穴《どうけつ》があるのを知っていた。一丈五尺もある百足虫《むかで》が群れをなし、怪獣ベヘモスの浴場にもなり得ようという、テーベの奇怪な沼のように人々はそれを思っていた。下水掃除人らの長靴《ながぐつ》も、よく知られてるある地点より先へは決して踏み込まなかった。サント・フォアとクレキ侯とがその上で互いに親交を結んだというあの塵芥掃除人《じんかいそうじにん》の箱車が、下水道の中にそのまま空《あ》けられていた時代、それからあまり遠
前へ
次へ
全618ページ中197ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング