は目をさます。グランテールはびっくりして身を起こし、両腕を伸ばし、眼を擦《こす》り、あたりをながめ、欠伸《あくび》をし、そしていっさいを了解した。
酔いのさめるのは、幕を切って落とすに似ている。人は一瞥《いちべつ》で一つかみに、酩酊《めいてい》が隠していたすべてを見て取る。万事が突然記憶に浮かんでくる。二十四時間の間に起こったことを少しも知らないでいる酔漢も、眼瞼《まぶた》を開くか開かないうちに事情を了解する。すべての観念は急に明るくなって蘇ってくる。酩酊《めいてい》の曇りは、頭脳を盲目になしていた一種の煙は、たちまち晴れて、明るい明瞭な現実の姿に地位を譲る。
グランテールは片すみに押しやられ、球突台《たまつきだい》のうしろに隠れたようになっていたので、アンジョーラの上に目を据えていた兵士らは、少しも彼に気づかなかった。そして軍曹が「ねらえ」という命令を再び下そうとした時、突然兵士らの耳に、傍から強い叫び声が響いた。
「共和万歳! 吾輩《わがはい》もそのひとりだ。」
グランテールは立ち上がっていた。
参加しそこなって仲間にはいることができなかった全戦闘の燦然《さんぜん》たる光は
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