の両角の間に獅子《しし》の記章をつけ、ブールボン公は兜の目庇《まびさし》に大きな百合《ゆり》の記章をつけていた。しかし雄壮たらんがためには、イヴォンのごとく公爵の兜をかぶるの要はなく、エスプランディアンのごとく[#「ごとく」は底本では「ごく」]生ける炎を手に握るの要はなく、ポリダマスの父フィレスのごとく人間の王エウフェテスから贈られたる美しい甲冑《かっちゅう》をエフィレより持ち帰るの要はない。ただ一つの確信もしくは一つの忠誠のために身をささぐれば足りる。昨日まではボースやリムーザンの農夫であり、今日はリュクサンブールの園のかわいい子供らのまわりに短い剣を腰に下げてぶらついてる、あの素朴なる可憐な兵士、解剖体の一片や一冊の書物の上に背をかがめ、あるいは鋏《はさみ》で髯《ひげ》をつんでいる、あの金髪《きんぱつ》蒼顔《そうがん》なる若い学生、彼ら両者をとらえて、義務の息吹《いぶき》を少し吹き込み、ブーシュラー四つ辻《つじ》やプランシュ・ミブレー袋町で向かい合って立たしめ、そして一方は軍旗のために戦い、一方は理想のために戦い、両者共に祖国のために戦ってるのだと想わしむるならば、その争闘は巨大な
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