御軍の弾薬は尽きかかっていたが、その風刺は尽きなかった。墳墓の旋風のうちに立ちながら彼らは笑っていた。
クールフェーラックは帽子をかぶっていなかった。
「帽子をいったいどうした。」とボシュエは彼に尋ねた。
クールフェーラックは答えた。
「奴《やつ》らが大砲の弾で飛ばしてしまった。」
あるいはまた昂然《こうぜん》たる言葉をも彼らは発していた。
「わけがわからない、」とフイイーは苦々《にがにが》しげに叫んだ、「彼等は、(そしてフイイーは、旧軍隊のうちの知名な人や高名な人など、若干の名前を一々あげた、)われわれに加わると約束し、われわれを助けると誓い、名誉にかけて明言し、しかもわれわれの将たるべき者でありながら、われわれを見捨てるのか!」
それに対してコンブフェールは、落ち着いた微笑をしながらただこう答えた。
「世間には、星をながむるようにただ遠方から名誉の法則を観測する者もあるさ。」
防寨《ぼうさい》の中は、こわれた薬莢《やっきょう》が播《ま》き散らされて、雪でも降ったようだった。
襲撃軍には数の利があり、反軍には地の利があった。反徒らは城壁の上に拠《よ》っていて、死体や負傷者
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