|れたところをみるとその他の個所をも貫いたらしかったが、しかしマリユスにはあたらなかった。すべてそれらのことは、煙の中でちらとわかっただけで、はっきり見えたのではない。下の広間にはいったマリユスも、ほとんど気づかなかったほどである。けれども彼は、自分の上に向けられた銃口とそれをふさいだ手とだけは、ぼんやり認めることができ、また発射の音だけは聞くことができた。しかしかかる際にあっては、目に止まる事物も瞬時に起こりたちまちに変転するもので、一事に気をとどめることはできない。人はなおいっそう暗黒なるものの方へとせき立てられる気がして、すべてはただ靄《もや》のうちに包まれる。
 暴徒らは不意を打たれたがなお辟易《へきえき》せず、再び隊伍《たいご》を整えていた。アンジョーラは叫んだ、「待て! むやみに打つな!」実際彼らは、最初の混乱のうちに同志打ちをしないとも限らなかった。多くの者は、二階の窓や屋根裏の窓に上ってゆき、そこから襲撃軍を眼下にした。また最も決然たる者らは、アンジョーラとクールフェーラックとジャン・ブルーヴェールとコンブフェールとともに、傲然《ごうぜん》と背面の人家を背にして、防寨《
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