モオい声がまた叫んだ。
「おりろ!」
瞳《ひとみ》には心乱れた痛ましい炎が輝いてい、色青ざめ荒々しい様子をしたマブーフ氏は、頭の上に軍旗をかざして繰り返した。
「共和万歳!」
「打て!」と声は言った。
榴霰弾《りゅうさんだん》のような第二回のいっせい射撃が、防寨《ぼうさい》の上に落ちかかった。
老人は膝《ひざ》をついたが、また立ち上がり、軍旗を手から落とし、腕を組んで長々とあたかも一枚の板のように、後ろざまにあおむけに舗石《しきいし》の上に倒れた。
血潮は彼の下に流れた。色を失った悲しげな年取った顔は、空をながめてるがようであった。
我が身をまもることを忘れさせる人間以上のある感動に、暴徒らはとらえられた。彼らは恐懼《きょうく》の念をもってその死骸のまわりに集まった。
「弑虐人《しいぎゃくにん》ら([#ここから割り注]訳者注 ルイ十六世を処刑せし国約議会員ら[#ここで割り注終わり])は実に恐ろしい者どもだ!」とアンジョーラは言った。
クールフェーラックはアンジョーラの耳に口をよせてささやいた。
「これは君にだけの話だぜ、皆の熱誠を冷やしたくないから。あの老人は弑虐人ではない
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