sし、何らフランスに反することをなさないで、大戦役から戻ってきたのであった。
 彼は自ら言った。自分の日もまた到来したのである。自分の時も、ついに鳴らされたのである。父のあとに自分もまたこれから、毅然《きぜん》として勇敢に大胆に、弾丸の前を行ききし、銃剣に胸を差し出し、おのれの血を流し、敵をさがし、死をさがさんとするのである。今度は自分が戦いをなし、戦場におり立たんとするのである。しかも今、その戦場は街路であり、なさんとする戦いは内乱なのである!
 彼は内乱が自分の前に深淵《しんえん》のごとく口を開いているのを見、そこに陥ってゆく自身を顧みた。
 その時彼は身を震わした。
 彼は祖父がある古物商に売り払ってしまった非常に惜しい父の剣のことを思った。彼は自ら言った。しかしその勇ましい潔い剣が、暗黒のうちにいら立って自分の所をのがれ去ってしまったのは、かえってよかったのである。そのように逃げ去ってしまったのも、賢くて未来を予見したからである。暴動を、溝の戦いを、舗石《しきいし》の戦いを、窖《あなぐら》の風窓からの銃火を、背後から与え合う剣撃を、予感したからである。マレンゴーやフリートラント
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