ネ暗い穴のように見えるのだった。それをのぞき込めば、あたかも深淵《しんえん》の中を見るがようだった。街灯はこわされ窓は閉ざされているので、あらゆる光と生命と響きと動きとはなくなってしまっていた。暴動の目に見えない警戒が至る所を見張って、秩序すなわち暗夜を維持していた。暗黒のうちに小勢を包み込み、その暗黒のうちに含まってる可能性を利用して各戦士を多数に見せかけること、それが反乱の必要な戦術である。日が暮れるや、蝋燭《ろうそく》の光がさしてる窓は皆銃弾を受けた。灯火は消され、時としては住民まで殺された。かくて何物も動いてるものはなくなった。そこにあるものはただ、人家のうちにおいては恐怖と哀悼と喪心のみであり、街路においては一種神聖な戦慄《せんりつ》のみであった。窓や軒の長い列も、煙筒も屋根の高低も、泥にまみれ雨にぬれてる舗石《しきいし》の上の漠然《ばくぜん》たる光の反映も、すべて認められなかった。そして上からその重畳した闇《やみ》の中をのぞけば、所々に間をへだてて、断ち切れた妙な線や異様な構造物の輪郭などを浮き出さしてるおぼろな明るみが、廃墟の中を行ききする光に似た何かが、たぶんかすかに見
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