゙ことは、一つの窖《あなぐら》にはいり込むがようだった。
 彼はなお続けて進んでいった。
 数歩行くと、だれかが彼のそばを駆けぬけた。男であったか、女であったか、または数名の者であったか、彼にはわからなかった。ただそのものは、彼のそばを通りぬけて消えうせてしまった。
 ぐるぐる回ってるうちに、彼はポトリー街と思われるある小路のうちに出た。その小路の中ほどで一つの障害物に出会った。手を差し伸ばしてみると、ひっくり返ってる一つの荷車だった。足先で探ると、水たまりや泥濘《どろ》や投げ散らされ積み上げられた舗石《しきいし》などが、感ぜられた。築きかけたまま見捨てられた防寨《ぼうさい》だった。彼はその舗石をまたぎ越して、防寨の向こうに出た。それから標石とすれすれに歩き、人家の壁伝いに進んでいった。防寨から少し先に行った時、前方に何か白い物があるような気がした。近づくと一つの形になった。二頭の白馬だった。午前にボシュエが解き放した乗り合い馬車の馬で、終日街路から街路へとあてもなくさまよい、ついにそこに立ち止まり、人間が天のなすことを了解し得ないように、人間のなすことを了解し得ないで、疲れ切って気長
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