\歳の青年は、太い頑丈《がんじょう》な人夫を一枝の葦《あし》のようにへし折って、泥の中にひざまずかした。ル・カブュクは抵抗しようとしたが、あたかも人力以上の手につかまれてるがようでどうにもできなかった。
その時、色を変え首をあらわにし髪をふり乱してるアンジョーラには、その女のような顔つきをもってして、何となく古《いにしえ》のテミス([#ここから割り注]訳者注 正義の女神[#ここで割り注終わり])のような趣があった。彼のふくらした小鼻、伏せた目は、そのギリシャ式の厳乎《げんこ》たる横顔に、古人が正義の姿にふさわしいものとした憤怒の表情と清廉の表情とを与えていた。
防寨《ぼうさい》のうちにいた者は皆駆けつけてき、少し遠巻きに居並んで、まさに起こらんとする事柄に対して一言をも発することができないように感じた。
ル・カブュクは取りひしがれて、もうのがれようともせず、ただ全身を震わしていた。アンジョーラは手を放して、時計を取り出した。
「気を落ちつけろ。」と彼は言った。「祈るか考えるかするがいい。一分間の猶予を与えてやる。」
「許して下さい!」と殺害者はつぶやいた。それから頭を下げて、舌の
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