のいわゆる譲与の上に、再び手をつけしむるに至ったことは、いかに重大な誤謬《ごびゅう》であったか。痛むべきかな、彼らが譲与と名づけたところのものは、実は吾人のなした征服であり、彼らが吾人の簒奪《さんだつ》と呼んだところのものは、実は吾人の権利だったのである。
 復古政府は、時期至ったと思われた時に、ボナパルトに打ち勝ち国内に根をおろしたと想像して、換言すれば自らを強固なる根深きものと信じて、にわかに決心の臍《ほぞ》を固めてあえて事を行なわんとした。ある朝彼はフランスの面前につっ立ち声を張り上げて、その集団的資格と個人の資格とを否認し、国民には大権を拒み公民には自由を拒んだ。他の言葉をもって言えば、国民に対してはよってもって国民たるべきものを否認し、公民に対してはよってもって公民たるべきものを否認した。
 七月の勅令(一八三〇年)と称せらるるあの有名なる法令の根本は、実にそこにあったのである。
 かくて復古政府は没落した。
 その没落は至当であった。しかしながらあえて言わんに、復古政府とてあらゆる進歩の形式に絶対的敵意を有するものではなかった。すなわちそのかたわらにおいてある大事業もなされ
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