ケ、それを飲み干し、それからまた、だれも彼自身もそれと意識しないその一杯の葡萄酒《ぶどうしゅ》にほとんど中断さるることなく、しゃべり続けた。
「ローマを奪ったブレンヌスは一つの鷲である。小娘を奪った銀行家は一つの鷲である。いずれも共に恥を知らない。ゆえにもはや何物をも信ずるなかれだ。ただ一つの現実は酒あるのみ。いかなる意見をいだこうとも、ユリー州のごとくやせたる鶏に味方し、あるいはグラリス州のごとく肥《ふと》ったる鶏に味方しようとも([#ここから割り注]訳者注 いかなる物に対していかなる態度を取ろうとも[#ここで割り注終わり])、それが何の関係があるか、ただ飲むべしである。君らは僕に語るに、大通りのこと、葬式の行列のこと、その他をもってする。そして再び革命が起こりかけてるというのか。僕は神の無策に驚くのほかはない。神は絶えず事変の車軸に油をぬりなおさなければならなくなるんだ。ねばり着いて少しも先へ進まないからだ。革命よ急げ。神はいつも下等な差し油で手をまっ黒によごしているんだ。しかし僕が神の地位にあったら、すべてをもっと簡単にやってのける。僕は機械の撥条《ばね》を絶えず巻きはしない、一
前へ
次へ
全722ページ中572ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング