キべての家具は、三本足で立ってるようにがたがたしていた。石灰で白く塗った壁の装飾としては、ユシュルー上《かみ》さんにささげられた次の四句のみだった。

[#ここから4字下げ]
十歩にして人は驚き、二歩にして人は慴《おび》ゆ。
一つの疣《いぼ》ありてその蛮勇なる鼻に蹲《うずくま》る。
絶えまなく人は恐る、その鼻汁の飛沫《ひまつ》を、
また他日口の中にその鼻の陥るべきを。
[#ここで字下げ終わり]

 それは木炭で壁に書きつけてあった。
 まったく右の詩とそっくりなユシュルー上さんは、落ち着き払ってこの四句の前を、朝から晩まで歩き回っていた。マトロート([#ここから割り注]魚料理[#ここで割り注終わり])にジブロット([#ここから割り注]肉料理[#ここで割り注終わり])という名だけで知られてるふたりの女中が、ユシュルー上さんを助けて、青葡萄酒《あおぶどうしゅ》[#ルビの「あおぶどうしゅ」は底本では「あをぶどうしゅ」]の壜《びん》や、瀬戸の皿に入れて空腹な客に出す種々な薄ソップなどを、テーブルの上に並べた。マトロートは肥った、丸々した、顔の赤い騒々しい女で、故ユシュルーの気に入りだったが、神
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