ニは、飲酒家には普通にありがちのことであって、略文はすなわち文句の千鳥足である。コラントという名前はしだいにポ・トー・ローズという名前をすたらした。最後の主人であるユシュルー親方は、昔からの伝統も知らないで、柱を青く塗りかえてしまった。
勘定台がある下の広間、球突場《たまつきば》になってる二階の広間、天井をつきぬけてる螺旋形《らせんけい》の木の階段、テーブルの上の葡萄酒、壁についてる煤《すす》、昼間からともされた蝋燭《ろうそく》、そういうのがこの居酒屋のありさまだった。下の広間の揚げ戸から階段がついていて、窖《あなぐら》に通じていた。ユシュルーの家族の住居は三階にあった。階段というよりむしろ梯子《はしご》で上ってゆけるようになっていて、その入り口は二階の広間のうちにある隠し戸だけだった。屋根の下には二つの屋根部屋があって、女中どもの寝室になっていた。また料理場は勘定台のある広間とともに一階を二分していた。
亭主のユシュルーは、おそらく生まれながらの化学者だったろうが、実際は一個の料理人となった。その居酒屋では、酒が飲めるばかりでなく料理も食べられた。ユシュルーは他で食べられない独特
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