「羊の群れというのは鵞鳥《がちょう》の群れというのをていねいに言った言葉だ。」([#ここから割り注]訳者注 羊の群れは信徒のことで鵞鳥の群れは愚衆の意味、そして、仏語では、ouailles ; o. es と両者の字が似ている[#ここで割り注終わり])
 そして彼は壁からその教書をはぎ取った。そのことはガヴローシュを感心さした。ガヴローシュはその時からバオレルを学びはじめた。
「バオレル、」とアンジョーラは言った、「それはよくない。その教書はそのままにしとく方がいい。僕らはそんなものに用はないんだ。君は憤慨をむだに費やしてる。弾薬は大事に取っておかなくちゃいけない。魂の弾《たま》も、銃の弾も、戦列以外では費やさないことだ。」
「だれにでも自分のやり方というのがあるさ、アンジョーラ。」とバオレルは返答した。「司教のこの文句は僕の気に入らない。僕は鶏卵を食うのを人から許してもらいたくない。君は冷ややかに燃えてるが、僕は愉快なんだ。それに僕は何もむだをしてるんではない。元気をつけてるだけだ。この教書を引き裂くのも、ヘルクル([#ここから割り注]畜生[#ここで割り注終わり])、まず食欲をつけ
前へ 次へ
全722ページ中546ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング