ヘ銃床尾で乱打される。人家の中庭では女中らがおもしろがって、「騒動がもち上がるのよ[#「騒動がもち上がるのよ」に傍点]!」という声が聞こえる。
 十四、五分とたたないうちに、パリーの各所でほとんど同時に起こったことは、おおよそ次のようなものだった。
 サント・クロア・ド・ラ・ブルトンヌリー街では、髯《ひげ》をはやし髪の毛を長くした二十人ばかりの青年が、ある喫煙珈琲店《エスタミネ》にはいり込み、やがて間もなく出てきたところを見ると、喪紗《もしゃ》のついた横の三色旗を一つ押し立て、その先頭には武装した三人の男が、ひとりはサーベルを持ちひとりは小銃を持ちひとりは槍《やり》を持って進んでいた。
 ノナン・ディエール街では、腹がでっぷりして、声が朗らかで、頭が禿《は》げ、額が高く、黒い頤鬚《あごひげ》をはやし、なでつけることのできない荒い口髭《くちひげ》をはやしてる、相当な服装をしたひとりの市民が、通行人に公然と弾薬を配っていた。
 サン・ピエール・モンマルトル街では、腕をあらわにした数名の男が黒い旗を持ち回っていた。その上には白い文字が読まれた、「共和かしからずんば死[#「共和かしからずんば死
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