黶A追いまくられた青年らは棺車を引きオーステルリッツ橋を駆けぬけて市の守備兵を襲い、重騎兵は駆けつけ竜騎兵は薙《な》ぎ立て、群集は四方に散乱し、戦の風説はパリーのすみずみまでひろがり、人々は「武器を取れ!」と叫び、走り、つまずき、逃げ、あるいは抵抗した。風が火を散らすように、憤激の念は暴動を八方にひろげていった。
四 沸騰
およそ暴動の最初の蜂起《ほうき》ほど異常なものはない。すべてが各所で同時に破裂する。それは予期されていたことであるか? しかり。それは前もって準備されていたことであるか? 否。それはどこから起こってくるか? 街路の舗石《しきいし》からである。それはどこから落ちてくるか? 雲からである。ある所では反乱はあらかじめ計画された性質を帯び、ある所ではとっさに起こった性質を帯びる。だれということなくそこに居合わした男が、群集の流れを我が物にして望みどおりにそれを導く。その発端は、一種の恐るべき快活さが交じった驚駭《きょうがい》のみである。初めはただ騒擾《そうじょう》であり、商店は閉ざされ、商品の陳列棚は姿を消す。次には時々銃声が聞こえ、人々は逃げ出し、家の正門
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