ニーデルというひとりのドイツ人がいるのを見て人々は注意し合った。この男はその後百歳近くまで生きながらえたが、以前一七七六年の戦争([#ここから割り注]アメリカ独立戦争[#ここで割り注終わり])にはいって、トレントンではワシントンの下に戦いブランディーワインではラファイエットの下に戦ったことがあった。
そのうちに、川の左岸には市の守備騎兵が動き出して橋をさえぎり、右岸には竜騎兵がセレスタンから現われてきてモルラン河岸に沿って展開した。ラファイエットの馬車を引いていた者らは、河岸の曲がり角《かど》で突然それに気づいて、「竜騎兵だ、竜騎兵だ!」と叫んだ。竜騎兵らはピストルを皮の袋に入れ、サーベルを鞘《さや》に納め、短銃を鞍《くら》側につけたまま、陰鬱《いんうつ》に期待するところあるかのように、黙々として馬を並み足に進ましてきた。
小さな橋から二百歩の所で彼らは止まった。ラファイエットの馬車がそこまで行くと、彼らは列を開いて馬車を通し、そのあとからまた列を閉じた。その時竜騎兵らと群集とは相接した。女たちは恐れて逃げ出した。
その危急な瞬間に何が起こったか? だれもそれを言うことはできな
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