キべてを発表しておらず、またおそらくすべてを深く穿鑿《せんさく》してもいない。ゆえに吾人は、世に知られ公にされてる特殊な事のうちから、特に人のかつて知らなかった事柄を、また知っていた者もあるいは忘れあるいは死んで、そのために隠れてる事実を、明るみに持ち出すつもりである。この壮大な舞台に実際立った人々の多くは、既に姿を消している。その翌日より早くも彼らはいっさい口をつぐんでいる。しかし吾人がこれから語ろうとすることは、自ら目撃したことであるとも言い得るものである。吾人はある人物の名前を変えるであろう、なぜなら歴史は物語るものであって摘発するものではないから。しかし吾人は真実の事柄を描くであろう。また本書の性質よりして、吾人が示すところのものはただ、一八三二年六月五日および六日の両日の、確かに世に知らるること最も少ない一方面のみであり一|※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]話《そうわ》のみであろう。しかしその上げられたる暗いヴェールの下に、この恐るべき民衆の暴挙の真相が瞥見《べっけん》されるように、したいものである。
三 埋葬――再生の機会
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