諱Bあたしは何もこわがりゃしないよ。」
彼女はじっとテナルディエを見つめて言った。
「お前にだってこわがるもんか。」
それから彼女は、亡霊のような血走った眸《ひとみ》で盗賊らの方を見回して、言い続けた。
「父さんの棒で打ち殺されて、明日プリューメ街の舗石《しきいし》の上で身体を拾われようとさ、また一年たって、サン・クルーの川の中かシーニュの島かで、古い腐った芥《あくた》かおぼれた犬の死骸《しがい》かの中で拾われようとさ、それが何だね。」
そこで彼女はやむなく言葉を切った。乾燥した咳《せき》がこみ上げてき、狭い虚弱な胸から息が死人のあえぎのように出てきた。
彼女はまた言った。
「あたしが一声上げさえすりゃあ、人はどしどしやって来る。お前さんたちは六人だが、あたしの方には世界中がついてるんだ。」
テナルディエは彼女の方に出ようとした。
「寄ってきちゃいけない!」と彼女は叫んだ。
彼は足を止めて、静かに言った。
「安心しろ、近寄りはしねえ。だがそう大きな声をするな。おい、お前は俺《おれ》たちの仕事を邪魔するつもりなのか。だが食うだけの金はいるからな。お前はもう親父《おやじ》に親切
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