「低い一つの声を聞いた。
「あの人が毎晩きたって別に不思議はない。」
通行人はあたりを見回したが、人の姿は見えないし、またその暗いすみをのぞく勇気はなく、ただ非常な恐怖に襲われた。そして足を早めた。
この通行人が足を早めたのはいいことだった。それから間もなく、六人の男が、別々に少し間をおいて、壁に沿って進んでき、密行の巡邏《じゅんら》のようなふうで、プリューメ街にはいってきた。
庭の鉄門の所までやってきた第一の男は、そこに足を止めて他の者を待った。それからすぐに六人ともいっしょになった。
彼らは低い声で隠語を話し始めた。([#ここから割り注]訳者注 以下彼らの言葉は隠語を交じえたるものと想像していただきたい[#ここで割り注終わり])
「ここだ。」とひとりは言った。
「庭に犬がいるか。」ともひとりが尋ねた。
「知らねえ。だがとにかく食わせる団子は持ってきた。」
「窓を破るパテはあるか。」([#ここから割り注]窓ガラスにパテをつけて、ガラスの破片が落ちて音を立てるのを防ぐのだ[#ここで割り注終わり])
「ある。」
「鉄門は古いぜ。」と五番目の腹声の男が言った。
「そいつは結構だ。」
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