ス学的形状がないとおり、人の心のうちには絶対的な論理の連絡はないものである。コゼットとマリユスとにとっては、もはやマリユスとコゼットとのほかは何物も存在しなかった。周囲の万物はすべて穴の中に没してしまっていた。彼らは光り輝く黄金の瞬間に生きていた。前には何物もなく、後ろにも何物もなかった。コゼットに父親があることをもマリユスはほとんど考えなかった。彼の頭の中では、眩惑《げんわく》のためにすべてが消されてしまった。それではこのふたりは何のことを語っていたか。それは前に述べたとおり、花のこと、燕《つばめ》のこと、沈みゆく太陽のこと、上り行く月のこと、そういう大事なことばかりだった。彼らはすべてを除いたすべてのことを語り合った。恋人らのすべては無にすぎない。そして、父親のこと、現実のこと、あの陋屋《ろうおく》、あの盗賊ら、あの事変、それらが何の役に立つか。またその悪夢が実際起こったことであるとどうして確言できよう。彼らはふたりであり、互いに欽慕《きんぼ》し合っており、ただそれだけのことにすぎなかった。その他のことはすべて存在しなかった。そのように背後に地獄が消えゆくことは、おそらく天国に近づ
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