@かくてもなお続けて天の方へ目をあげなければならないか? そこに見える輝いたる一点は、消えうするもののなごりであろうか? 深みのうちに取り残され、見分け難く小さく孤立して、周囲に重畳|堆積《たいせき》してる大なる暗雲におびやかされながら輝いてる理想こそ、見るも恐るべきものである。しかしながらそれは、黒雲にのまれんとする星と等しく、特に危険に陥っているものではない。
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   第八編 歓喜と憂苦


     一 充満せる光

 読者のすでに了解するとおり、エポニーヌはマニョンに言いつけられてプリューメ街に行き、そこに住んでる娘を鉄門越しに見て取って、まず盗賊どもをその家から他にそらし、次に、マリユスを連れてきたのであった。そしてマリユスは、その鉄門の前に恍惚《こうこつ》たる数日を過ごした後、鉄が磁石に引かれるような力に導かれ、恋人が愛する女の家に引きつけられるような力に導かれて、ロメオがジュリエットの庭にはいったように([#ここから割り注]訳者注 セークスピヤの戯曲ロメオとジュリエット[#ここで割り注終わり])ついにコゼットの庭のうちにはいり込んでしまったのである。しかも
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