ぞってもおれんからな。」
 その変な言葉を聞いて、浮浪少年は妙な態度をとった。彼は急いでふり返り、深く注意をこめてその小さな輝いた目であたりを見回し、そして数歩向こうに、こちらに背を向けて立ってるひとりの巡査を見つけた。ガヴローシュは思わず「なるほど」と言いかけたが、すぐにその言葉をのみ込んでしまって、それからモンパルナスの手を握って打ち振りながら言った。
「じゃ失敬。俺《おれ》は餓鬼どもをつれて象の所へ行こう。もし晩に用でもあったら、あすこへこいよ。中二階に住んでるから。門番もいやしねえ。ガヴローシュ君と尋ねて来りゃあすぐわかるよ。」
「よし。」とモンパルナスは言った。
 そして彼らは別れて、モンパルナスはグレーヴの方へ、ガヴローシュはバスティーユの方へ向かった。五歳の子供は兄に連れられ、兄はガヴローシュに連れられて、何度もふり返っては、「ポリシネル」が立ち去るのをながめた。
 巡査がいることをモンパルナスがガヴローシュに伝えた変な言葉には、種々の形の下に十何回となくくり返されたん[#「ん」に傍点]という音の合い図を含んでいるのだった。この別々に発音されないで巧みに文句のうちに交じえ
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