目と目を見合った。
 彼らはもはや、冷ややかな夜も、冷たい石も、湿った土も、ぬれた草も、感じなかった。彼らは互いに見かわし、心は思いに満たされた。われ知らず互いに手を取り合っていた。彼女は彼に何も尋ねなかった。どこから彼がはいってきたか、どうして庭の中に忍びこんできたか、それを彼女は思ってもみなかった。彼がそこにいたのはきわめて当然なことのように思われたのだった。
 時々、マリユスの膝《ひざ》はコゼットの膝に触れた。そしてふたりは身をおののかした。
 長く間をおいては、コゼットは一、二言口ごもった。露の玉が花の上に震えるように、彼女の魂はその脣の上に震えていた。
 しだいに彼らは言葉をかわすようになった。満ち足りた沈黙に次いで溢出《いっしゅつ》がやってきた。夜は彼らの上に朗らかに輝き渡っていた。精霊のごとく潔《きよ》らかなふたりは、互いにすべてを語り合った、その夢想、その心酔、その歓喜、その空想、その銷沈《しょうちん》、遠くからいかに慕い合っていたかということ、いかに憧《あこが》れ合っていたかということ、互いに会えなくなった時、いかに絶望に陥ったかということ。彼らは既にもうこの上進むを
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